太陽光発電における新型MPPT制御の研究

  • 太陽電池は日射強度、温度、負荷などによって動作点が変化するため、
    最も効率の良い点で動作させるための制御が必要になります。これをMPPT制御と呼んでいます。
    当研究室では、従来のMPPT制御の欠点を改善するための新しいMPPT制御方式の研究を行っています。
    太陽光発電システムの太陽電池アレイに影がかかったり、パネルを異方位に設置したりすると
    出力特性は太陽電池の電圧に対して複数のピークを持つようになります。
    従来のMPPTアルゴリズムであるP&O法では、低いピーク点をとらえてしまい大幅に出力が低下する
    という問題がありました。

    当研究室では、この問題点を改善するためにスキャン法を新しく開発しました。
    この方式は太陽電池のI-V特性を高速で読み込み最大電力点を捉えてこれに追従する新しいMPPT制御方式です。

    このスキャン法の原理を用いた家庭用太陽光発電システムのパワーコンディショナ(PCS)が
    日立アプライアンス㈱より日立ブランドとして発売されました。

    また、日昇テクノロジー社からは、本スキャン法を搭載したバッテリー充電用のMPPTコントローラーが発売されました。
    このコントローラーを用いると、太陽電池の部分影や異方位設置等で生じる出力電力の複数ピークをスキャンし、
    最も高いピークを検出してその動作点で動作します。従って、従来のP&O法と比べて出力を大幅に増加させることができます。

太陽電池のホットスポット診断法に関する研究

  • 太陽電池モジュールの故障の原因の一つにホットスポット現象があります。
    この現象は、セルに欠陥があり、そのセルに長時間影が生じると
    セル全体あるいは部分的に高温になってしまい、表面樹脂の変形やセルが壊れたり
    火災の原因となる危険性があります。

    当研究室では、この結晶欠陥(低抵抗欠陥)に基づく物理現象を利用し、
    モジュール単位でホットスポットを簡易的に診断できる
    SRC(Self Reverse Current)検査法を新しく開発しました。

    この方式は、パネルを設置する前に欠陥のあるパネルを特定することができ、
    従来の赤外線カメラを用いた手法と比較して、簡単に検査が行えるという利点があります。
    下図は当研究室で開発した検査装置のモニタ-画面です。
    21,23番セルに欠陥が検出されています。

太陽光発電システムのリアルタイム ホットスポット検出・抑制システムの研究

  • 当研究室では、太陽光発電システムのパネルにホットスポット現象が生じているかどうかを
    リアルタイムで検出・抑制するシステムを新しく開発しました。

    この方式は、システム内のパワ-コンディショナ(PCS)でスキャン法によって、
    定期的に検出される太陽電池のI-V特性から異常を検出する新しい方法です。
    ストリングのI-V特性から低抵抗欠陥部のコンダクタンス値を算出し、
    ホットスポットの発生を検出すると同時に発熱を生じない動作点に
    PCSの動作点を移行することで、最大限の出力を得ながら発熱を抑制します。

    下図はサーモ画像で、左側が従来のシステム、右側が本システムの画像です。
    従来システムでは、ホットスポットの発生で115℃に温度が上昇していますが、
    本システムの適用によって通常の32℃に抑制されていることが分かります。

アクティブPVアレイの研究

  • パワーコンディショナ(PCS)の最大電力点追跡(MPPT)制御には、
    通常P&O法と呼ばれるアルゴリズムが用いられていますが、
    パネルの部分影時や混成使用時、異方位設置時などで太陽電池電圧に対する
    出力電力の特性に2つ以上のピークを持つ場合に、
    低い方のピークを捉えてしまうことがあり、
    出力が大幅に低下するという欠点があります。

    また、部分影などの付き方でストリング毎の最適動作条件が異なると
    ストリング間のミスマッチが発生しPCSのMPPT制御では最大電力点での
    動作が不可能になります。

    当研究室では、既設のPVシステムを対象として、従来のPCSの入力側に
    パネル毎にユニットを後付けするだけで、
    全てのパネルの最大電力の和の電力をアレイのある電圧点に集約し、
    PCSでパネル全ての最大電力を取り出すことの出来る
    アクティブPVアレイを新しく提案しています。

    このシステムを用いると、一般的なP&O法を用いたPCSを使用しても、
    部分影時などでも最大電力点を確実に捉えることが可能となり、発電効率を大幅に向上させることが可能となります。

燃料電池の高効率制御の研究

  • 燃料電池は水素をエネルギー源とする発電装置です。
    発電に伴って水と熱を発生するのみであり、また、水素は太陽電池を電源とした
    水の電気分解によって得られることからクリーンな発電方式として注目されています。

    当研究室では、太陽光発電システムのために開発したスキャン法を燃料電池に
    応用した最大効率点検出(MEPD)法を新しく開発しました。
    これにより水素の消費量を抑制し、燃料電池を効率よく動作させることができます。

パワーエレクトロニクス制御の研究

  • あらゆる電気機器では電力を制御するために、パワーエレクトロニクス制御による
    半導体スイッチングが行われています。
    半導体をスイッチングするには電圧や電流などを読み取って
    これらをフィードバックしてPWM信号を発生させます。
    これらを実行するには一般にマイコンを使用します。

    当研究室では、マイコンを用いた各種変換回路の制御技術全般について
    研究を行っています。

楽器の音色の電気的分析に関する研究

  • たとえば、クラシックギターは安価なものと伝統的な高級手工ギターでは
    明らかに音色が異なっています。

    当研究室では、楽器の音色を電気的に分析し、安価な材料で
    高級楽器の音色に迫る楽器の製作を目指して研究を行っています。